「グーグル」時代へ(〜現在)


 2002年,グーグルは検索連動型広告アドワーズ」のサービスを開始した。これは,広告主が予め入札しておいたキーワードが検索された場合,その検索結果画面にテキスト文字で構成された広告を表示するサービスである。


 この広告は表示されただけでは費用は発生せず,閲覧者によってクリックされた時にだけ課金される。また広告主による出稿の申し込みは入札形式となっており,同じキーワードに対して複数の入札があった場合,それぞれの上限入札金額と広告メッセージのクリック率などをもとに,グーグルが持つ独自のアルゴリズムによってその掲載順位が決定される。広告主はアドワーズによって,媒体接触者の関心がある領域に関する広告をより効率的に露出させることができるようになった。またテレビCMで検索キーワードを告知してWeb検索を促し,アドワーズで掲出した広告を経由して,キャンペーンWebサイトへ誘導するというキャンペーン手法が開発され,大流行となった。


 グーグルは,2004年にはコンテンツ連動型広告「アドセンス」をスタートさせ,アドワーズと合わせたこれら2つのサービスにより,従来マスメディア広告ビジネスの対象となり得なかった小口の広告ニーズを大量に発掘し,広告主,広告掲載媒体,双方の母数を激増させることとなった。検索連動型広告では他に「オーバーチュア」も人気を集め,急激な成長を遂げたこともあり,インターネット広告は再び成長期に入った。


 「日本の広告費」によると,2003年のわが国のインターネット広告媒体費は1,183億円(前年比140.0%),2004年は1,814億円(同153.3%),2005年2,808億円(同154.8%),2006年3,630億円(同129.3%),2007年4,591億円(同126.5%),2008年5,373億円(同117.0%)となり,広告制作費を含めた総額で,総広告費の10.4%を占めるに至ったことは,本稿の冒頭にて述べた通りである。


 また2006年からは,媒体接触者の接触履歴に基づいて最適と推定される広告を抽出し,露出する「行動ターゲティング広告」の配信がわが国でも始まった。



目次および出典