広報と宣伝は、たいがい仲が悪い。

まずは、広報部の成り立ちを整理してみようかな。


広報部は、まずは報道対応のための部門として作られてきた組織。
老舗の大企業では広報部が、渉外担当だとかトップサポートというような位置づけで
総務や法務、あるいは人事とか秘書室あたりと、近い組織になっているケースも多い。


そこに、80年代くらいからは、社会貢献やメセナの仕事が加わった。
最近だとそのあたりも含めて、CSRって感じ。
ただ、CSRとなると環境問題も入ってくるので、CSR本部とかいって
別部門にしているところも多いかな。


一方同じ頃、人事部からは社内報の仕事をもらった。
社員の冠婚葬祭情報をやめて、
経営や事業など会社の動向を伝える社内報へリニューアル。
広報部内に社内広報グループができる。


さらに一方では、IR部門も強化されてくる。
広報とIRをくっつけて、広報・IR部となっている会社も多い。


対応すべきステークホルダが増えるとともに、仕事の領域が拡大。
全て統合してコミュニケーションを進めよう、という考えで
コーポレートコミュニケーション(CC)部門という冠をつけるところも多い。
ただ、この部門名、電話を取るとき長くて言いにくいのが難点。


かと思うと、組織を大きくしすぎるとうまく統制できない、ということで
やっぱりまた、報道対応だけ切り離した広報部にしたりする会社もある。
広報関連の組織やその変遷を見ると、その時点での会社の意思がよく分かる。


ワタシの知る範囲では、
大企業では、本社広報がマーケティングの現場から遠すぎる気がする。
しかも大抵、広報と宣伝は仲が悪い。


広報って、内製の文化。宣伝は、外注が当たり前の世界。
広報は、宣伝が持ってるお金をひがむ。
広告代理店にちやほやされたりとか、派手なCMとかをひがむ。
一方、宣伝は、常に上から目線で偉そーにしている広報がめざわり。


中小規模の会社や、新興企業では
広報と宣伝が同じ組織になっていて、あるいは同じ人が担当したりして
広報の仕事が、よりマーケティング寄りの位置づけになっている。
イベントまでカバーしてたりして。いいよなー。


実際、広報と宣伝を同じ人がやっても、不都合はないというか
むしろいろいろ効果的、いや、それこそがあるべき姿だと思う。


大企業でも事業部制の会社だと、本社のコーポレート広報とは別に
各事業部門にも製品・サービスの広報を置くケースも多い。
この場合の広報担当者は、宣伝やマーケティングもやるんだと思うんだけど。


くちゃくちゃ書いてきましたが
マーケティング視点からみただけでも
広報と宣伝っていう分け方、考え直す時期だよなー。
でも、リスク管理とか、レピュテーションマネジメントというような
観点からみると、もっと違うくくり方もあるし。


こういう風に、組織論から
企業の対ステークホルダ向けコミュニケーションの最適化を考える
というアプローチもあるかな、と思います。


この切り口で、もう少しいろいろと考えてみます。
次は、経済広報センターの調査データあたりをお借りして
もう少しちゃんと裏づけのある話を書こう。